| 目次へ戻る 青春18キップ中国地方編２ 二日目 快晴、旅館で朝食をとり、７時４０分に出発。大橋川畔をゆっくりビデオでとりながら駅へ向かいました。８時２０分発の「宍道」行きの電車にのり、右手に宍道湖を見ながら進みます。車内は女子高生が殆どです。 宍道湖沿いの国道９号線は、朝の通勤時間帯であり、結構、混んでいました。途中、「玉造温泉」をとおり（「大昔、新婚旅行できたなあ」と感慨に浸りながら）８時４０分に「宍道」につきました。 「木次行き」のジーゼルカーは９時８分発です。 山陰本線のレールは進行方向まっすぐ伸び、木次線はホームを出て、すぐ左に曲がって樹木の中へ入って行きます。大げさに言えば、未知の世界に入って行くみたいです。乗客は１０名いません。当方みたいな１８切符族が、４人、あとは、地元のばあさんです。時間が９時を回っているので、中高校生はいません。 「木次」までは、のどかな田園風景です。途中、乗り降りはありましたが、「木次」では、殆どおりてしまいました。 「木次」から今回のハイライト、トロッコ列車の「奥出雲おろち号」です。紺と白で、星の模様をあしらったデザインで、「中国地方の夜空にきらめく星のイメージをまとった概観」と案内には書いてありました。早速、車掌にたのみ、モデルが当方でビデオカメラにて車両をバックに撮ってもらいました。他の乗客も写真を撮っています。この列車、ガイドの車掌がついています。ベテランの車掌という雰囲気で説明もわかりやすく、仕事に誇りを持っている感じです。（こういう場所は若いネエチャンで事務的にしゃべられるよりはるかに良い。） ９時４８分出発です。乗客は我等みたいな１８切符族が、５人、若いのと中年のアベックが一組ずつ、親子連れが一組です。 空いていて動き回れるのが最高です。明日は土曜日で、満席だそうです。何しろ、周りが全て、見えるのですから、また、運転席横から前が見えるのが最高です。 最近のＪＲはどういう理由か知りませんけど、運転席の後ろから、前をみていると、カーテンを閉めてしまう運転手が多い。１８族みたいのには、列車にのり、前を見るのを好きなのがいるのだから、開けておくべきです。その点、この列車はわかっています。なにしろビデオを構えていたら車掌が「前へ行って映していいですよ」と言ってくれるのですから。 「回りの木をかき分けて、レールが１本延びている景色のよさがわからないのか」と小生はいいたい。 「下久野」をでてしばらくすると、長さ２ｋｍ、高低差５０ｍしかも直線のトンネルがあります。直線であるから、入口から出口の明かりが小さく見える。見えてもなかなか近づけません。とまあここを出ると、高原状の台地になります。 次の「出雲三成」では、対向列車の通過待ちであります。対向列車は、後にも先にもここだけでした。次の「亀嵩」では、ホームで手打ち蕎麦を近所のおばさんが販売していました。思わず買って食べたが、腰がありうまい。５００円です。 「出雲坂根」では、ホームに「冬に暖かく、夏に冷たい延命の水」がありました。車できている人達がペットボトルに入れていたが、我らはＪＲにのっているお客である。当然、優先権があり、先にいれてくれました。決して、どけたわけではありません。 さて、水を飲んで一息ついて、これから、一駅間で１６０ｍの標高をかせぐスイッチバックにはいります。後ろに付けたジーゼルカーでゆっくり後方へ登ります。登ってきたレールを下にみながら８０ｍくらいバックします。そして、今度はポイントを切り替えて戻ってきたレールを右に見ながら前方へ登ります。昔は碓井峠にもあったが、現在は少ないそうです。 途中で先ほどの「出雲坂根」が真下に見えます。ゆっくりとあえぎながらトンネルをいくつか越えて登って、この路線で最高の景色の場所に着き観光列車ですから止まります。 １４０億円を掛けて９５年に完成したコンクリートのループ橋と赤いアーチ型の鉄橋です。 「奥出雲おろちループ」と称する。（あの頃はえらい総理大臣もいたものなあ）紅葉もきれいとガイドの車掌さんがおっしゃっていました。このあと中国地方での最高地点の駅である「三井野原」へつきます。（７００ｍ以上あるらしい。）周りにはスキー場があります。 あとは、余韻を残して終点の「備後落合」へ向かいました。（１２時７分着） 「備後落合」は周りに何もなく、さびしい村という印象でトロッコ列車の終点にはふさわしい感じです。 次は「備後落合」１２時４５分発の芸備線の「三次行き」です。「備後落合」から本日の宿の「新見」は２時間くらいでいけるのですが、今回の目的は、多くの列車に乗ることですので、まず、「三次」へ向かいます。 １両のジーゼルカーで乗客はおばあさんと当方と１８族が３人です。若いアベックは折り返しのトロッコ列車で戻り、家族連れと中年のアベックはこの駅で降りました。 始めのうちは、渓谷沿いを走ります。路肩が悪いせいか、落石を心配しているのか、ゆっくりゆっくり走ります。そのうち、平らになり視界が開けてくるとスピードアップします。芸備線は「広島」へ抜けるのですが、私は福塩線で「福山」へ向かうので、「塩町」で乗り換えるのが妥当ですが、待ち時間が１時間もあるので、「三次」まで行って福塩線の始発から乗ることにしました。 「三次」は大きな盆地で町も開けており高い建物がいくつかありました。かわら屋根の大きな家も多くあり豊かな町の印象です。 さて、「三次」からは１４時３９分発の「府中行き」です。２両編成のワンマンジーゼルカーです。「塩町」までは、芸備線の戻りで「塩町」から右に向かっていきます。平地から山間に入り、「府中」へは、１６時２０分につき、ホームに停車している「福山行き」に乗り、すぐ発車です。もうここまでくると、「福山」の近郊電車の雰囲気で、中国地方でなく、山陽地方です。 「福山」からは山陽本線で「倉敷」へ「倉敷」からは伯備線で本日の宿「新見」へ向かいました。伯備線も近郊電車の感じでした。 天守が現存する山城としては日本一と物の本に書いてある備中松山城がある「備中高梁」を通ったのですが、暗くてよくわかりませんでした。 「新見」には、１９時１８分到着です。もう真っ暗で人通りもありません。宿は「駅」からすぐでした。目の前には、大きな川が流れていました。 三日目 ５時１０分発の「津山行き」の姫新線に乗るため、宿を４時５０分にでました。朝、早いので勘定は昨日に済ませてあります。まだ、真っ暗です。駅につくと、当直の駅員が「台風がくるよ」と言っていました。台風１５号がくるような話は、大船を出る前に聞いていましたが旅行中はテレビ、新聞をみていないので知りませんでした。 ５時１０分発車、乗客は我一人。山間を走り時折ある民家から朝餉の支度をしているのか明かりがぽつりともれ、昨日の伯備線と違い、ローカル色一色です。５時３０分頃にようやく空が白々と明けてきましたが、台風の影響か黒い雲でどんよりとしています。夜が白けると同時に、乗客の数が増えてきました。殆どが、女子高生です。（なぜか、男子高生はあまり見ない。）今日は、土曜日です。クラブ活動でもあるのでしょうか。又は、早朝の勉強かな？ 「津山」へは、６時４５分に着きました。城下町ということですが、大きな町で、駅の脇に近代的な大きなホテルがあります。また、交通の要所なのか車両基地でもあります。駅のそばには、高校の寮もありました。 ここからは、７時５分発の「佐用行き」に乗ります。１両のワンマンジーゼルカーです。次の「東津山」を出てすぐ、「鳥取」へ行く因美線の分岐があります。列車はずっと平坦な道を中国自動車道と平行に走り、「佐用」へ８時７分に着きました。 台風は何処かに行ってしまったのか、当方が台風から遠ざかったのか空は明るくなりました。 「姫路」行きは、８時４６分であり、大分時間があり、腹も減ったので、何か食べようと出たのですが、売店はなし、パン屋があったので、サンドイッチを買おうとしたがなし、しかたないので自動販売機でジュースを買い、持参の柿の種をぼりぼりかじって飢えをしのぎました。その後、ホームでボケッとしていたら、きれいな色をしたステンレスの電車が隣のホームに入ってきました。智頭急行「岡山行き、特急いなば２号」です。なんかこういう田舎的雰囲気のところに、いきなり原色カラーの電車が入ってくると異様な感じです。 「佐用」を出て、「姫路」に近づくと乗客がどんどん増えて（乗るだけで、降りる客はわずかです。）「姫路」に着いた時は、満員でした。 次は、「和田山行き」の播但線です。腹も減り駅弁を買いました。 １０時６分発「寺前行き」です。３両の電車です。席はロングシート。弁当を食べられる雰囲気ではありません。直線が多くぶっ飛ばして行きます。 「寺前」には１０時４３分。１０時５１分発の「和田山行き」が１両のジーゼルカーで待っています。結構混んでいましたが、やっと座れました。こちらはローカル線。弁当食べてもいいと言っています。早速食べます。柔らかい蛸ののった弁当、当然うまい。 列車は、満員の乗客を乗せて、勾配が急なのか、満員で重いのか、ウーと唸るような、喘ぎ音を残しながらゆっくりと登って行きます。登りきると後は、平坦な盆地の間を進んでいくようです。 １１時３６分「和田山」です。乗客はここで降り人が少々、あとは、「城崎」方面へ行く人です。当方は、ここから「綾部」まで戻り舞鶴線に乗るのですが、この間は初日に乗りました。出来れば同じところは乗りたくないのですが、工程上やむをえません。 接続の関係で福知山まで特急を使いました。それでも、「和田山」で４１分、「綾部」で４９分の待ち時間です。しかし、前にも書きましたが「これがローカル線の旅ですよ。わかりますね。」 「綾部」では、食堂に入り、ザル蕎麦を食べたのですが、これがまずい。蕎麦はヌルヌルで腰がない。蕎麦湯は出てこない。「亀嵩」で食べたのとでは、月とスッポンであります。 「綾部」では悪い印象を残し、「東舞鶴」へ向かいました。２両の電車です。「西舞鶴」では、北近畿タンゴ鉄道のブルーとグレーのツートンカラーの車両が止まっていました。「天の橋立」方面へ行く列車です。終点「東舞鶴」は高架の駅で、２分の接続でジーゼルカーが待っていました。 「小浜線」です。海側は進行方向左側ですが、結構、混んでいて席がありません。やむなく、右側に座りました。 「三松」辺りから若狭湾が見えてきます。「若狭本郷」からは、小浜湾です。入江になっており、静かなきれいな海です。この景色は「小浜」まで続きます。 「小浜」は若狭湾観光地の中心地なのでしょうか、大勢の人がおりました。海側に座れます。昨日まで、小浜線は電化工事のため、「東舞鶴」からこの「小浜」までバスで代行運転をしていました。 そのために、工程を組むのに苦労したのですが、その価値は充分ありました。 列車は一旦、内陸へ入り穀倉地帯を走ります。次にみえるのは、低い山に囲まれた三方湖です。 「美浜」からは美浜湾です。いずれも、きれいな海岸線です。「美浜」を過ぎるとまた、内陸へ入ります。 列車はやがて、「敦賀」の町がみえるようになります。雨が降ったのでしょうか、「敦賀」の方向に虹がかかっていました。カメラを取り出して写している人が何人かいました。（当方も当然ビデオで撮影）「敦賀」には１６時１５分着です。 「米原」行きは、１７時３４分ですので、町へでて見ました。駅前には４車線の大きな通りが真っ直ぐ延びていますが、車の通りは少なく、どことなく、のんびりしています。お祭りの準備とか商店街は飾り付けをしていました。 中華料理屋の看板に「荒磯ラーメン」と出ていたので、昼の蕎麦がまずかったので入りました。あさり、ほたて、えびが入りスープの味が最高でした。面も細麺ですが、腰がありよかったです。 この後、駅の売店でみやげを買い、「敦賀」から「米原」へ向かいました。 北陸本線です。これは、電車であり早い。夕方にもなり、また、雨も降ってきて暗く、景色がよく見えません。「長浜」辺りで琵琶湖がちらっと見えた程度です。 「米原」には、１８時２７分に着きました。最後は奮発して、新幹線です。キヨスクで氷と水を買い（ウイスキーとつまみは持参）１７時４３分発の「こだま４３２号」に乗ります。 貸し切りのような車内でリクライニングシートを倒し、（車内はガラガラ、「ひかり」ではこうはいかないだろう）ウイスキーをちびちびやりながら、地図を広げ、一人旅の思いにふける？ 最高ではありませんか。 皆さんこれが一人旅の醍醐味ですよ。さようなら。 |
